『原子力のタブーを打破しよう』
今、日本社会は、不況や北朝鮮問題などに目を奪われ、はるかに悲惨な“日本の破滅”が現実に迫りつつあることを知らずにいます。
それはいったん起こってしまえば鎮圧不可能で、何百何千万人に被害を及ぼし、しかも何万年にも及ぶ大災害となりうるもの、つまり『原発大事故』の発生です。それを政府はもちろん、メディアも積極的に取り上げていません。タブーの存在により、国民に知られることが妨げられているのです。 私は一年程前に次のような情報を得ました。1973年に欧米で問題となった製法による原発が、日本では十基余りもそのまま運転されているというものであります。この製法によれば、原発の核心部分である圧力容器に毛状の亀裂が多数生じます。 私はこの情報に接した直後から、数度に亘り小泉内閣総理大臣を始め、松浦原子力安全委員長、一部の電力会社社長等に伝え、事故発生を防ぐため万全の措置を取るよう申し入れております。報道されるか否かよりも、破局の到来を回避することが最優先されるべきだからであります。
私がこの書簡を書くこととしたのは、これまでのタブー破りの努力の一環であり、指導層を始め国民各層の良心に直接訴えることにより、幅広く世論を喚起し、破局の到来を未然に防ぐ一助となることを願ってのことであります。 「国策」として揚げられているわが国の原子力政策は核燃料サイクル政策に見られる通り、八方塞がりの状況にありますが、世論の覚醒がない限り、政策転換は望み難いのです。その間、同政策が国民の生命の安全を脅かすものであることが、次の通り、益々明白になりつつあります。 ● マグニチュード8クラスの大地震の発生がいよいよ身近に予測されている東海地方、そのど真中に存在する4基の浜岡原発の危険性は、国際的にも関心を集めつつあります。今年7月札幌で開催された国際会議でわが国の地震学の権威である茂木清夫元地震予知連会長及び石橋克彦神戸大学教授は原発震災による未曾有の破局の可能性に言及しつつ、重大な警告を発したのです。 ● これと同様に世界を壊す可能性があるものとして注目すべきは青森県六ヶ所村の再処理工場であります。専門家によれば、再処理工場は最悪の場合、原発1000基分の大事故となり、世界の人口の半分近くの犠牲者を生む可能性があるとのことであります。 ● 六ヶ所村はこの他、国際熱核融合実験装置を誘致することを決めております。これに対しては、今年3月、ノーベル物理学賞受賞者の小柴昌俊氏及びマックスウェル賞受賞者の長谷川晃氏が、連名で同装置は200万人を殺傷する可能性のあるトリチウムを使用することに言及しつつ、同誘致に絶対反対するとの嘆願書を小泉総理宛に発出しております。 このようにわが国の原子力政策は国民の生命の安全を脅かすものとなっており、もはや、「国策」の名に値しないことは明白であります。しかし、必要とされる政策転換には原発関係で生計を立てている多くの人達の生活保障の問題を始め、余りにも多くの困難が伴うこともあり、世論の抜本的喚起が不可欠となっております。 このような現状をこれまでのように見て見ぬ振りをして何もしないということは、破局の到来を想像すれば、誠に罪深いことであり、もはや許されないのではないでしょうか。 何卒、日本のため、未来の世代のため、そして人類のために御尽力をお願い申しあげます。
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