3号機・シュラウドのヒビ問題

■11月28日、浜岡原発3号機がシュラウドにヒビを抱えたまま営業運転を再開しました。経済産業省・原子力保安院は「運転に補修は必要ない」と評価していますが、果たして本当にM8の巨大地震にも耐えられるのでしょうか?
シュラウドにヒビがあると何故危険なのか、もしも揺れに耐えられずに崩壊してしまった場合はどうなるか、簡単に解説いたします。
 
浜岡原発は左の沸騰水型の原発です。制御棒が下から入っている筒状のものがありますね。
←この部分がシュラウドです。中部電力のHPにも図があります。シュラウドは、原子炉の心臓部の圧力容器の内側にあるもので、原子炉を構成する最も重要な構造体のひとつです。高さおよそ7m、直径およそ4.5m、厚さおよそ5cmのステンレス製の円筒。
地震の際に、このシュラウドが崩壊したらどうなるか? 横揺れのシミュレーションしかしていない原発で、縦ゆれも含んだ複雑な揺れが起きた場合、燃料棒や制御棒のサヤのようになっているシュラウドが炉心を支えきれずに横にズレる(移動する)可能性があります。もし炉心が本来の位置から動いてしまったら、原子炉を緊急停止するときに核分裂を抑える制御棒が入らなくなります。制御棒はミリ単位で削られているので、少しのズレが命取りになり、最後にはチェルノブイリ型の核暴走につながりかねません。
また、シュラウドが完全に崩壊したら、上に載っている気水分離器などの機材が炉心の上に降ってくることでしょう。
シュラウドの肉厚がどれだけあっても、物体にヒビが入っていたら、地震の揺れの衝撃が弱いところ(ヒビの部分)に集中して一気に裂けてしまう可能性があります。

★中部電力の解説
「Q.大きな地震が発生した場合に,制御棒は問題なく入るのですか。」
「Q  シュラウドや配管に傷があると,健全な状態に比べて地震時の揺れ方が違うのではないですか」


また、元GEの技術者の菊地さんによると、もっと恐ろしいのは、再循環系のパイプの破損です。このパイプは原子炉からAループ6本+Bループ6本の計12本(その内2本は内径が60CMもあります。)伸びていますが、原子炉とのつなぎ目の根元の部分にヒビが入っていたら一気に壊れて冷却水が喪失する事態になりかねません。この際、一本でも外れたらそこから冷却水が噴出すのでメルトダウンです。中部電力は、この根元部分のヒビの検査は他の部位に比べて被爆量が多いためできないでいるようです。菊地さんの話では、仮にヒビが入っていても、交換には大変な被曝作業をともなうので、とてもできないとのこと。 また、根元から伸びた先のところでも溶接でつないだ部分は衝撃に弱く特に危険です。