【解説4】原発震災と緊急避難

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緊急停止しても事故は起こる

浜岡原発で大事故が起きたら 原発震災から身を守るには

緊急停止しても事故は起こる

  浜岡原発では、震度6の揺れで、自動停止するようになっているそうです。はたして揺れ動くなかで、制御棒をうまく挿入できるでしょうか。(図29)

  たとえうまく停止できたとしても、冷却水を回し続けなければなりません。

図29

  1999年7月12日、敦賀原発で冷却水が漏れました。分岐した配管の長さ8cm幅0.2mmの小さなひび割れから、冷却水全体の5分の1の51トンの水が失われました。

  幸い失われ方が、最大でも1時間に10トンの速さだったため、同量の水を補給し続けることができました。

  もし大地震のため、配管が切れ、非常用冷却(注水)装置でも追いつかなかったらどうなるでしょうか。

  2001年11月、1号炉で配管爆発事故が起こりました。非常用冷却装置につながる配管でした。炉内の水蒸気の圧力に抗して冷却水を押し込む高圧注入系の2系統のうち1系統が機能を失いました。

  重い鋼鉄の原子炉圧力容器、太くて長い配管、非常用炉心冷却(注水)装置の低圧用水タンク、これらは、それぞれ、別々な振動をするでしょう。継ぎ目には、大きな力がかかるはずです。とくに1〜2号機は、建設から20年以上になります。

  古い原発では、溶接のひずみと腐食が重なって起こる事故が多く起こっています。地震により、冷却水喪失事故が起こることを考えないわけにはいきません。それも、炉心溶融・格納容器破壊にいたる、大規模な冷却水喪失が考えられます。

 


浜岡原発で大事故が起きたら

  運転停止直後の原子炉1基には、体内にとりこめば10億〜1兆人の致死量にあたる放射能がたまっています。

  1995年、京都大学原子炉実験所助手だった瀬尾健(故人)は、日本のそれぞれの原発ごとに災害予想をおこないました。(『原発事故・そのときあなたは』風媒社)

  以下は浜岡原子力発電所3号炉(電気出力110万kW)が、炉心溶融を起こし格納容器が破壊された場合の予測です。このタイプは、アメリカ合州国原子力委員会が“BWR-2型”と呼ぶ事故で、全放射能の5分の1が放出されます。

  事故のときの被害は、風向きと気象条件の影響が大きく、ここでは、気象条件は曇り、風速2mを想定しています。この場合、放射能は風下へ約15度の角度で広がります。

1.急性死

図30

  大量の放射線を浴びると急性障害が起こります。図30は急性障害による死者数をあらわしています。図の上で風下15度の扇形を描き、その範囲内に入る市町村に書かれた数字を合わせた数が、予測される急性死者数になります。

  もし陸地方向へ放射能が流れれば、どの方向でも、急性死者の数は10万人規模になります。これは、緊急避難できなかった場合の数字です。

注1.日本政府がおこなった原発事故災害評価

1959年、科学技術庁の委託を受けた原子力産業会議は、当時茨城県東海村に予定されていた電気出力16万kWの原子炉をモデルにして、事故による損害試算をおこないました。
原子炉中の放射能の50分の1が放出された場合、最大で死者720人、障害5000人、要観察400万人になるとしています。
ただし、これは急性障害によるものだけで、晩発性障害や遺伝障害は除外され過小評価であることが明記されています。
また、死者への補償(85万円)、立ち退き費用(都市部で人あたり60万円、農村部で35万円、半年間の避難で10万円)、農耕禁止による損害など、当時の金額で3兆7000億円と見積もっています。
このため原発事故の損害は電力会社の補償能力をはるかに超えるとして、原発事故の補償は60億円を上限とすることになりました。

2.晩発性障害

図31

  急性障害が出ないような放射線でも、遺伝子が傷つき、数年〜数十年後にガンや遺伝障害が発症します。図31は、同じ事故による、風向き別の、将来のガン死者数の予測です。

  放射能が北東の首都圏方面へ広がった場合、将来のガン死者数は434万人と予測されます。西の名古屋方面に向かえば200万人になります。真北の信州方面に広がったときは、人口が少ないためガン死者数は40万人程度になります。この場合も、5年以上移住しなかった場合の数字です。

 

注2.晩発性障害の評価

被曝放射線量と晩発性障害や遺伝障害については、研究者により見積もりが異なっています。
晩発性障害というのは、遺伝子が傷つくことによる将来の白血病やガンの発症、遺伝障害とは生殖細胞が傷つくことによる子孫への影響です。 ここではゴフマン博士による見積もりが用いられています。


一万人・シーベルト当たり発生するガン死者数

評価者(年)

ガン死者数

ICRP(1977)

125

米国科学アカデミー(1980)

10〜500

ゴフマン(1981)

4000

今中(1986)

600〜2000

放射線影響研究所(1987)

1700

国連放射線影響委員会(1988)

1700

米国科学アカデミー(1990)

800

ICRP(1990)

500

 

3.長寿命放射能による居住不能地域

図32

  図32は、同じ事故、同じ気候条件で風下になったとき、セシウム137(半減期30年)のような長寿命放射能により地面が汚染され、半永久的に居住不能になる範囲を示しています。

  風下15°の扇形の範囲では、原発から320kmまで立ち退き地域が生じることになります。図では、真北の方向に15°の扇形を描きました。

  緩い避難基準(内側の円内)は、チェルノヴィリ原発事故による旧ソ連の立ち退き基準(1平方kmあたり40キュリー)、厳しい避難基準(外側の円内)は、ベルルーシ共和国の立ち退き基準(1平方kmあたり15キュリー)によります。

  ただし、旧ソ連も1991年に、厳しい基準に変更しました。

図33

  図33は、1986年に起きた旧ソ連チェルノヴィリ原発事故による、放射性セシウムによる現実の汚染状況です。同じ縮尺の日本列島を、浜岡とチェルノヴィリの位置を合わせて重ねてあります。

  紫に着色された地域が1平方kmあたり15キュリー(Ci)以上の汚染地域で、立ち退きの対象になっています。ウクライナ・ベルルーシ・ロシアの3カ国が指定した移住対象地域の総面積は、約1万平方kmで、およそ静岡県と山梨県を合わせた面積です。ただし事故後13年たった今でも移住は完了していません。

  着色された全範囲が、1平方kmあたり1キュリー以上の汚染地域です。その中では日本では放射線監視区域に該当する強さの放射線が放たれています。その面積14.5万平方kmは、日本の本州の64%に相当しています。

  セシウム137が地面を汚染すると、ガンマ線により地面からの外部被曝をもたらします。作物中に移行した場合は体内に取り込まれて内部被曝をもたらします。

  ベラルーシ国立大学の調査では、セシウム137は事故の6年後も70〜99%が表土に固着したままです。セシウム137の半減期は30年なので、30年後の地面からの放射線量は9〜48%までしか低下しません。もちろん地中に拡散したり、流れ去ったり、植物にとりこまれた放射能は移動先で放射線を放ちつづけます。

4.寿命が比較的短い放射能によるガン

  その代表的なものは、放射性ヨウ素です。ヨウ素は体内に取りこまれると甲状腺に集まり、甲状腺の細胞の遺伝子を傷つけます。

  とくに成長期の子供は甲状腺のはたらきが活発で、ガン化しやすいのです。

  ヨウ素131という放射能は、8日間で半分の割合で減っていきます。半年で1億分の1まで減少します。ですから事故直後〜半年間の避難が、将来の発症数に影響します。

原発震災から身をまもるには

1.気象条件

  原発災害は、気象条件と距離によって様子が異なります。大地震のときには、事故情報が伝わらないかもしれません。

  事故が発生したものと考え、天気と風向きを見て、それぞれの場所へ来る放射能の強さや到達時間を予測し、最適な行動に備えましょう。

1−1.天気

  風に乗って流れてくる放射能の強さは、天気によって異なります。

A型:よく晴れた日の昼間、ほぼ無風(風速2m)

図35

上昇気流が強く、上空へ吹き上げられ、拡散が大きい
放射能雲は薄く広く広がります。
地表での横方向の広がりの角度は40°

D型:曇り、昼夜とも、ほぼ無風(風速2m)

図36

拡散は小さい
地表での横方向の広がりの角度は40°

F型:冬、よく晴れた冷え込みが激しい夜、ほぼ無風(風速2m)

図37

放射冷却で逆転層ができるため、
放射能雲は上空へ広がらず、地をはうように流れます。
地表での横方向への広がりも少なく角度は7.5°
放射能は、幅はせまいが、薄まらずに遠方へ到達します。

雨天

放射能雲が雨の中を通過すると、
雨粒とともに大量の放射能が降下します。

雨に濡れることは最悪の結果になります。
遠方に流れていった放射能雲が、そこで雨にあうと、
高濃度汚染スポットが生じます。

1−2.風向き

  図38は、本州中部の夏の代表的な風向きです。

図38

  浜岡からの風は、伊那谷、甲府盆地、南関東へ吹いています。夏の晴れた日の昼間は、海から陸へ風が吹きます。夜には、陸から海へ風が吹きます。

1−3.風速

  風速と放射能の到達距離は次のような関係になります。風速と距離から、自分の場所への放射能の到達時間を推定します。

風速 1時間後 3時間後 6時間後 12時間後
1m 3.6km 11km 22km 43km
2m 7.2km 22km 43km 86km
3m 11km 32km 65km 130km
5m 18km 54km 110km 320km

  放射能雲といっても、放射能の微粒子の集まりです。図のような黒いスモッグでも、白い雲でもありません。放射能雲は、目には見えません。実際に放射能雲にまきこまれているかどうかを知るには、放射線検知機によるしかありません。

  (スリーマイル島原発事故の被害住民は、「金属のような味を感じた」と証言しています。)

2.緊急避難

図39

  東海地震では、道路は分断され、情報も伝わらず、電話も使えないことが予想されます。そのうえに放射能雲が流れてくれば、救援は困難をきわめるでしょう。原発事故の状況も、把握できないでしょう。そのような中で、おおぜいの人がいっせいに逃げ出すことは危険です。

  ただちに避難しなければ急性放射線傷害を受ける区域の人たちの、区域外への緊急避難を優先しなければなりません。

.2−1.緊急避難区域

  ただちに緊急避難しなければならない範囲は、

事故原発 天候A型
晴・昼・風速2m
天候D型
曇・昼夜・風速2m
天候F型
冬・晴・夜・風速2m
1号機
54万kw
1.2km×40° 11km×15° 22km×7.5°
2号機
84万kw
1.8km×40° 17km×15° 34km×7.5°
3号機
110万kw
2.4km×40° 22km×15° 44km×7.5°
4号機
114万kw
2.5km×40° 23km×15° 46km×7.5°
全機
362万kw
8.0km×40° 72km×15° 145km×7.5°

  瀬尾健さんの方法で、ただちに避難しなければ1シーベルト以上の被曝を受け、急性傷害になる範囲を計算しました。1〜4号機の、それぞれの場合について出してあります。

  地震による事故の場合、全機一斉ということも考えざるをえないので、その場合も出してあります。

  1号機(54万kw)、3号機(110万kw)、全機(362万kw)の場合について、緊急避難地域を図に示しました。

  それぞれ、天気A型、D型、F型について、塗りつぶした扇形が、緊急避難地域です。真南からの風、風速は2mです。

  風向が異なる場合に、どこまで緊急避難地域になるかを、同心円であらわしました。風速2mのとき、そこまで放射能雲が到達する時間も示しました。

1号機が大事故のときの緊急避難地域 図40

3号機が大事故のときの緊急避難地域 図41

全機が大事故のときの緊急避難地域

図42

  図では、F型のときも南アルプスへ流れるように書いてありますが、ふだんのスモッグの様子をみるかぎり、伊那谷や甲府盆地の底を、はうように流れていくと思われます。

.2−2.緊急避難の方法

  不運にも、緊急避難地域にいた場合、どうしたらよいでしょうか。放射線を浴びる経路はいくつかあります。
    ・ 空中をただよう放射能の微粒子からの放射線。
    ・ 地面に降下した放射能の微粒子からの放射線。
    ・ 衣服や皮膚に付着した放射能の微粒子からの放射線。
    ・ 呼吸をつうじて体内に入った放射能の微粒子からの放射線。
  したがって、

     口を二重の濡れタオルでおおい、放射能を吸わないようにし、
    ・ からだをできるだけ帽子や衣服でおおい、
    ・ 風向きと直角に避難しなければなりません。


  ただし、雨の場合、雨滴には大量の放射能がふくまれていますから、目ばりした屋内にいた方が良いこともあります。

  しかし、地震によって建物は倒壊しているかもしれません。目ばりできるほど満足な建物は残っていないかもしれません。また、地震によって道路も使えないでしょうから、歩いて避難することになります。電車・バスはまったく動かないでしょう。

  歩きにせよ、車にせよ、急性死の圏内を出たら、
衣服やはきものはすべて取り替え、体は念入りに洗います。これを「除染」といいます。除染は必ずおこなう必要があります。放射能を身に着けていては命取りです。

  持ち物は放棄するしかありません。着替えは、避難した地域の人に提供してもらわなければなりません。車も、車内まで汚染されていれば放棄せざるをえません。

  放射性ヨウ素を体内にとりこむと、甲状腺に集まって放射線をあびせ、遺伝子を傷つけて、数年〜十数年後に甲状腺ガンをおこします。とくに成長期の子供は甲状腺が活発で、ヨウ素を集めやすいのです。それを防ぐため、被曝前か被曝と同時にヨウ素剤を飲んで、甲状腺が余分な放射性ヨウ素を受け付けないようにすることは、有効とされています。

  原発から数km以内の自治体には、住民の数だけのヨウ素剤は用意されているはずです。しかし、大地震の混乱と緊急避難の中では、配布されるか疑問です。

  本当は、緊急避難地域外でも、ヨウ素剤は必要ですが、手に入れることは、むずかしいでしょう。

  
ヨウ素131という放射能は、8日に半分という割合で減っていき、半年後には1億分の1まで減少します。初期の対応が、将来の甲状腺ガンの発病に影響します。

2−3..緊急避難者への手当て

  緊急避難区域の隣接地域では、避難者を迎えなければなりません。除染作業や入浴は一刻をあらそいます。汚染されていない着替えを用意する必要があります。行列を作って待たせるようなことは、決してあってはなりません。

  原発から数10km圏内の公共保養施設をあてるしかないと思われますが、十分な数の施設があるでしょうか。除染に使った水や湯の排水口は汚染され、施設は使えなくなるでしょうが、やむをえません。汚染された衣服などは、集中管理する必要があります。

  急性傷害の症状があらわれた人には、手当てしなければなりません。病院自体、地震の被害を受けています。地震のケガ人の手当てもしなければなりません。急性症状のあるなしにかかわらず、すでに多量の放射線を浴びた人たちは、これ以上の被曝をできるだけ減らすため、優先的に、より遠くへ避難する必要があります。電車が動いているところまで、何とか輸送せねばなりません。

3.数日以内の避難地域

  緊急避難地域より遠いところでも、できるだけ放射能を吸い込んだり、ふれたりしないことが大切です。地震にやられていない気密性のよい建物があれば、戸や窓をしめ、目ばりしてやりすごします。ただし、放射能雲の通過は、放射線検知機がないと分かりません。

  あとは、降下した放射能による、地面からの放射線による被曝が主になります。体をできるだけ帽子や衣服でおおい、口も濡れタオルでおおうのは、緊急避難地域と同じです。
屋外で用いた衣服を、室内に持ちこんではなりません。地震で水源がやられていなければ、放射能が来る前に水をできるだけ大量に確保し、あとはその水だけですごします。

  地面からの被曝により、急性傷害のめやすとした被曝線量1シーベルトに達するまでには、数日から1ヶ月の余裕があります。ただし1シーベルト弱の被曝では、ゴフマンによれば、将来のガン死が40%ていどになります。

  
したがって、妊婦、乳幼児、子供は、放射能が降下していない地域へ、一刻も早く避難しなければなりません。放射性ヨウ素の影響がなくなるまでの半年間ぐらいを考えます。チェルノブイリ原発事故のときは、130kmはなれたキエフ市の子供たちが、長期疎開しました。

  一方、緊急避難地区から逃げてきた人たちの手当てをしなければなりません。その人たちを、優先的に、より遠くへ送るために、輸送も提供しなければなりません。つぎに、これから子供をつくる年令の男女が避難します。緊急避難地区からの避難者が、より遠くへ避難したあと、
残った人たちが避難します。数日の間にこれを完了し、1ヶ月ほど避難すれば、急性傷害はふせげます。

4.立ち退き地域

  比較的寿命が短い放射性ヨウ素が消滅したあと、寿命の長い放射能による汚染が残ります。その主なものは、半減期が約30年のセシウム137と、ストロンチウム90です。

  その放射能で急性傷害は出ませんが、晩発性傷害による将来のガン死の危険のため、居住不能になります。とくに胎児は放射能の影響を受けやすく、地面からの放射線や、食物による母親をつうじた体内被曝により、流産や死産が、チェルノブイリ事故の被災地域では増えています。

  もし5年以上移住しなかったときに、ガン死が20%以上(被曝線量0.5シーベルト以上)になる風下距離を、事故原発と気象条件ごとに、計算してみました。

事故原発 天候A型
晴・昼・風速2m
天候D型
曇・昼夜・風速2m
天候F型
冬・晴・夜・風速2m
1号機
54万kw
9.5km×40° 86km×15° 170km×7.5°
2号機
84万kw
15km×40° 130km×15° 270km×7.5°
3号機
110万kw
19km×40° 180km×15° 350km×7.5°
4号機
114万kw
20km×40° 180km×15° 360km×7.5°
全機
362万kw
63km×40° 580km×15° 1200km×7.5°

  1号機(54万kw)、3号機(110万kw)、全機(362万kw)の場合について、長寿命放射能によるガン死20%地域を図に示しました。それぞれ、天気A型、D型、F型について、塗りつぶした扇形が、ガン死20%地域です。真南からの風、風速は2mです。風向が異なる場合に、どこまでガン死20%地域になるかを、同心円であらわしました。

1号機が大事故のときのガン死20%地域

図43

 

3号機が大事故のときのガン死20%地域

 

図44

全機が大事故のときのガン死20%地域

図45

  実際には、放射能放出の途中で、風向きがかわるかもしれません。局地的な雨がふると、高濃度汚染地域ができます。

  チェルノブイリ事故による、セシウム137汚染地図を見てください。とくに、水が流れてたまったようなところには、非常にに高濃度汚染された「ホット・スポット」ができています。そのようなところは、厳重に立ち入り禁止になっています。

 


5.救援活動

  兵庫県南部地震やナホトカ号原油流出では、おおぜいの若者が救援に駆けつけました。しかし、原発震災では、それは許されません。

  放射能汚染地区には、特別装備をした者以外は入れませんし、その人たちも、かなりの被曝を覚悟する必要があります。

  チェルノヴィリ事故では、若い兵士がおおぜい動員され、彼らの多くは死亡、または後遺症に苦しんでいます。日本の消防・警察・自衛隊などにも、十分な装備と訓練とマニュアルがあるとは思えません。

  実際には、被災地域から脱出してきた人たちを手当てし、より遠くに送り出しながら、自分たちも遠くへ避難していくという、被災地から離れていく流れになると思います。

  どのようにしたら、もっとも混乱なく、おおぜいの人を遠方へ移動させられるかを、それぞれが考えておかなければなりません。

  緊急避難地域の人は、地震の負傷者を救助しながら避難することになるでしょう。

  その隣接地域の人は、妊婦・乳幼児・子供・地震の被災者を避難させ、緊急避難地域からの人たちも避難させなければなりません。

  放射能汚染の程度しだいでは、数日のうちに自分たちも避難することになるでしょう。風下でどの距離までが隣接地域になるかは、事故の規模と気象条件によってちがいます。緊急避難地域の数倍のところまでと考えるとよいと思います。

  放射能がおよばなかった地域では、大量の原発震災難民の受け入れが必要です。若いボランティアの人たちは、そこで活躍して欲しいと思います。

 


6.放射線検知機

  目に見えない放射能雲の通過を知るには、放射線検知機が必要です。用途に応じて、いくつかの種類があります。

  1.放射能雲の前触れの弱い放射線をキャッチするもの。(据え置き型)
  2.除染ができたかどうかたしかめるもの。(ふつうの持ち運び型)
  3.地面の長期的な汚染状況を測るもの。
  4.食品中の放射能を測るもの。

  緊急時には、(1.)と(2.)がいります。

 

もっと詳しくはこのURLをご参照ください。
http://www.osk.janis.or.jp/~kazkawa/nuclear00.html


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