【解説3】東海地震の被害

解説ページトップ

むずかしい地震予知

東海地震の被害想定                                                

むずかしい地震予知

  東海地震発生時には、広い範囲で大きな被害が予想されています。

図22


 図22は、大規模地震対策特別措置法による地震防災対策強化地域(2002年2月現在)です。

2001年12月に中央防災会議から予測震度の見直しが発表されました。
図22-2は,見なおされた震度6弱区域をふくむ自治体です。 名古屋や諏訪まで広がりました。
この範囲まで強化地域が広げられることになるでしょう。

図22-2

  強化地域では地震発生の警戒宣言が発令されると、危険地域からの避難や交通規制などがされることになっています。

  けれども浜岡原発については、「電気は供給」とあるだけで、何のきまりもありません。中部電力および通産省によれば、「東海地震発生の警戒宣言が出された場合は、電力の需給状況をみて、原子炉を停止するなどの対応をとる」 そうです。

  地震発生の疑いがあるときは、ただちに止めなければなりません。

  原発は停止後も冷却水をまわし続けなければなりません。その電源は外からの送電線か、非常用ディーゼル発電機からの電気です。たとえ停止後でも、地震よる配管の破断や停電によって冷却に失敗すれば、大事故になります。

  崩壊熱の発生量は時間とともに減少し、1時間後には5分の1、12時間後には10分の1まで下がります。その差が、事故がどこまで拡大するかの分かれ目になるかもしれません。停止をためらう一刻の猶予も無いはずです。

 

施設

対応措置

電気・ガス・水道

供給
(ガスは併せて緊急停止への準備)

電話

通話規制
(グレー・青・黄・緑・防災用は確保)

鉄道

最寄駅に停車
(災害の発生が予想される駅を除く)

バス・タクシー・船

運行中止

道路

強化地域外から進入制限
避難路、緊急輸送路では通行禁止、制限
減速運転
(一般道20km/h程度、高速道50km/h程度)

銀行・郵便局

営業停止

デパート
スーパーマーケット

顧客を外に誘導

病院

外来診療は中止

学校

保護者に引渡し、帰宅

オフィス

退社する場合は時差退社

  東海地震の直前に、どんな現象がでるのかでないのか、研究者にとっては、未経験です。前の東海地震は江戸時代の1854年のことです。

  けれども、もし直前予知に成功できなかったとしても、測量・岩盤ひずみ・微小地震・深井戸水位などの、今回の東海地震前後の詳しい観測記録は、次の東海・東南海地震をむかえる、100〜200年後の世代のために役立つでしょう。


東海地震の被害想定

図23

  図23は、静岡県による、静岡県内の被害想定です。浜岡原発の位置を書き加えてあります。兵庫県南部地震の前の1990〜93年に、行われたものです。

  地震の規模は、マグニチュード8。春又は秋の昼食時、満潮時、風速5m/秒という条件。予知・警戒宣言は無かった場合です。

  警戒宣言があった場合の見積もりもあります。本当に、この程度の被害ですむのでしょうか。

2001年5月に発表された被害想定では、
午前5時に発生の場合、次の表のように見直されました。
被害区分 予知なし 予知あり
死 者 5,900人 1,500人
重傷者 19,000人 3,100人
建物大破 133,200棟 133,200棟

けれども、原発の事故は、まったく考慮されていません!

  放射能が押し寄せる中では、救援活動はまったく異なるはずです。

  浜岡原発のそばに、震度7区域があります。そこは大事故で風下になった場合、とどまっていれば放射能で急性死者が出る距離です。

  地震では無事だった人たちも一刻も速く避難しなくてはならない。けれども、地震で交通・通信も途絶えているでしょう。おまけに、放射能は目に見えないのです。

  以下は、近くの県の被害想定です。放射能は、隣接県をこえて、もっと遠くまで流れていきます。

図24

図25

図26

図27

図28

 

もっと詳しくはこのURLをご参照ください。
http://www.osk.janis.or.jp/~kazkawa/nuclear00.html


このページの最初に戻る

トップページに戻る